ドラゴン・テイル





 空高くを飛ぶ一匹のワイバーン。その後ろに巨大なドラゴン。更にそのドラゴンを挟むように三匹のワイバーン。

 三角形を形作る構成で北へと進んだ。

 ウル、コパン、レインの乗る先頭のワイバーンの背後から、ラーマが声をかける。

『あの黒竜は形を持たぬ残留思念だ』

 振り返るウルに、ラーマは続けた。

『ピクシーが我を救いに来た時、人間の女を見た。黒竜はあれに思念を乗り移らせているのだろう』

 ラーマの言葉に、ウルは女性の姿を思い出した。あれは、間違いなくリムレット。つまり、彼女は操られているのか……。

「その女性を、救えるか?」

 ウルの問いに、ラーマはしばし沈黙。

 考えて、ラーマは返答と違う言葉を口にした。

『あの女が、お前の探し人か…』

 小さく頷くウルを見て、ラーマはため息をついた。

『生きていて良かったな。だが、救うことは簡単ではない……』

 詰まらせたラーマの言葉を引き継いだのは、セルフィリオーナ。

「思念に乗っ取られた人間は、基本的に精神が崩壊する。
 思念があるべき場所に戻ればその人間は思念の束縛から解放されるけど、一度崩れた精神は簡単には戻らないよ。つまり、生ける屍になるってこと」

 セルフィリオーナの言葉に、誰一人声を発することが出来なかった。

 愕然とするウルに、ラーマは痛ましげな表情を向ける。

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