ドラゴン・テイル


 いつの間にか、森から響く轟音は消えていた。

 静寂の中、街へ戻るウルとレインの背後に何か重いものが落ちる音が響き、振り返る。

 そこに居たのは、白銀の体にたくさんの赤黒いシミをつけたラーマ。

『逃げられた。北へ向かったようだ』

 そう言うと。後ろにいる盗賊達に視線を向けた。思わず数歩下がる盗賊達。

『ずいぶん人が増えたな』

 ラーマの言葉に、ウルは頷いた。

「あぁ、それで困っていた。
 聞くが、ラーマ。クルセイダー達は?」

 ウルの問いに、視線を戻しながら首を振る。

『逃げたようだ。死体は無かった』

 ラーマの返答に、「そうか……」と一言呟く。尚更この街には停(とど)まれない。

 ウルはラーマに視線を向け、ふと思いついた。

「クレイグ、キスティンを連れてラーマに乗れ。セフィとレナもだ」

 ウルの突然の言葉に、クレイグ達のみならず、ラーマも驚いた表情を作った。

 ウルはそんな彼らを気にもとめず、ラーマに訪ねる。

「何人くらい乗せて飛べる?」

 その問いに、ラーマは若干嫌そうに答えた。

『後一人だな』

 ウルは小さく頷き、隣で口を開けてラーマを見上げていたレインに視線を向ける。

「あんたも乗れ」

 ウルが言うと、レインは慌てて手を振った。

「えぇぇぇッ! 俺ヤだ、絶対食われる! …馬…そうだ、馬で行くからいいよ!」

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