ドラゴン・テイル


 キスティンの顔色はまだ悪い。おそらく、歩く事もままならないだろう。だが、クルセイダーが近くにいる以上彼女を置いては行けない。

 ウルはクレイグに視線を向ける。その視線の意味を察したクレイグが、キスティンを抱き上げた。

「行くぞッ!」

 その場にいる全員に一声かけて、ウルは部屋を飛び出した。
 全員がウルの後に続く。

 宿を出て、街を抜け、ワイバーンの所へ急ぐウルに、後ろから追いかけていた盗賊男の一人が声をかけた。

「ワイバーンは四匹だ! 全員は乗れないぞ?!」

 思わず立ち止まる。

 後ろを振り返ると、不安気にウルを見つめる盗賊達。

 盗賊の人数は全部で十二人。
 一匹のワイバーンに三人ずつ乗るとしても、足りない。

 ─…クソッ! どうする…?!

 ウルは必死に思考を巡らせた。

 そこに聞こえる男の声。

「おーいッ! 置いて行くなよ!」

 レインが街の方から走ってくる。そのレインの背後に、馬小屋が見えた。

 ─馬だ! 二手に分かれて行こう!

 ウルは全員をその場に待たせ、レインの方へ走り寄った。

「レイン、馬だ! 馬を買いに行く、交渉してくれ」

 ようやくたどり着いたと息をつくレインに言うと、再び街へ引き返す。

「うそぉ、やっと追いついたのに…」

 ため息を付きながらも、しぶしぶウルについて行った。


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