「確かにな。だが、うまく言いくるめれば忠実な部下になる……か」

「その通り! さすがですね」

 スキールは、ウルの言葉に大げさに手を叩き声を張り上げた。

「父も兄も、騎士なんですよ。そちらの方と同じように堅物でして。でも、野心溢れる人物なんです」

 クスクスと小さく笑う。

「宝玉の事も、私が教えるとすぐに食いついてきましたよ」

「……何だと………?」

 スキールの言葉に、ウルもクレイグも大きく目を見開いた。

「宝玉がどういう物なのか、お前は知ってるのか?!」

 声を荒げて、ウルが怒鳴る。

「黒竜の事も、知っているのか?!
 あれが黒竜の手に落ちたら、また六千年戦争の二の舞なんだぞッ!!」

 そんなウルに、全く気にしていない素振りでスキールが答えた。

「もちろん知っていますよ。黒竜の持つ力が宝玉に入っている。だが、それを手にすれば大きな力が手にはいるんです。この国だって、更に発展することが出来る。
 多少の犠牲は仕方ないでしょう?」

 何故そんなに必死になるのかがわからないと言うように。


 ウルには、理解できなかった。自分の私利私欲の為に、何故そんなに簡単に人間全ての命を危険に晒せるんだ。

「……悪いがお前の考えは理解に苦しむ。
 交渉決裂だな」

 そう告げると唱えていた呪文を放った。

 王国に背く¨反逆者¨として。

「サンダーボルトッ!」




 戦いの火蓋を切り落とした。

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