レナとセルフィリオーナが全力疾走でウルの元にやってきた。
「ウルさんッ! キスティンは?!」
走りながら、レナがウルに叫ぶ。
「話は後だ。薬草は?」
「あります!」
手に握りしめた小さな袋をウルに見せるように振る。
「行くよッ! 乗って!」
慌てたようにセルフィリオーナがワイバーンに飛び乗り、レナを引っ張る。
その後ろ、先ほどセルフィリオーナ達が走ってきた道を、白い鎧を来た男が数人走ってくるのが見えた。
「見つかったのか?!」
叫びながらワイバーンに飛び乗るウルに、セルフィリオーネは既に上空へ飛び立ちながら同じように叫ぶ。
「違う! あいつら、この子を捕まえに来たのよッ!」
追うようにワイバーンを飛び立たせながら、ウルは舌打ちした。
クソッ……!
レナまで巻き込んでしまった……ッ!
高く高く舞い上がったワイバーンは、街の上空を大きく旋回した後、北へと進路を取った。
ワイバーンの背の上で、これまでの経緯を全て……セルフィリオーナが居るので宝玉の部分だけを省いて、レナに話す。
「…私、あれから考えてたんです……」
話しを聞き終えたレナが、話し始めた。
「……私、ウルさんの事、信じられませんでした。だって、クルセイダーは国を守るために戦う騎士様で、何の理由も無く人の命を奪ったりするはずがないって……」
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