ワイバーンの待つ場所に着いた時、後ろからもう一つの足音が近づいてきた。
「あたしも行くわ」
セルフィリオーネはそう一言告げると、早々にワイバーンに跨る。
「あんた、城であれだけ暴れたんだから顔バレてるでしょ。グレイクレイにはクルセイダーの宿舎があるの、知らないの?」
驚いた表情でセルフィリオーナの行動を見ていたウルに、ワイバーンの上から言った。
「その点、あたしならそんなに顔見られてないし。女は化けれるのよ」
悪戯っぽく笑顔を浮かべる。
そんなセルフィリオーナに、ウルは頭を下げた。
「すまない。頼む」
「任せて。
さっさと薬草取りに行きましょ」
そう言うセルフィリオーナに、ウルは一つ頷くとワイバーンに乗って飛び立った。
陸路でグレイクレイに行くには、グランドリア山脈を大きく迂回しなければならない。
続く街道の脇にそびえるのは迷いの森。
近道で森に入ると二度と抜け出せなくなるため、遠回りでも街道を通る他に道はない。
そういう意味から、医者は時間がかかると言ったのだろう。
その点、ワイバーンなら山を直線に越えていける。キスティンが助かる可能性が高くなった。
レナに言えば、きっと薬草を分けてくれる。大丈夫、助けられる。
そう自分に言い聞かせ、出せる限りの最高速度でワイバーンを飛ばせた。
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