ドラゴン・テイル


 切っ先を、後ろに飛んでギリギリの位置でかわすセルフィリオーナ。

 前方、立ちはだかる二人のクルセイダーの背後では、シミターの切っ先がチラチラ見える。

 再び襲いかかるクルセイダーの攻撃を最小限の動きで避けながら、セルフィリオーナは扉の前で加勢しようと走りだそうとするクレイグに叫んだ。

「オーブを投げて! 魔法をッ!」

 その声に気づいたクレイグが球を握りしめ、投げようとして止まる。

「魔法って、どうやって使うんだ?」

「投げて唱えれば良いだけよッ!」

 絶えず繰り出される斬撃を避けながら、セルフィリオーナは「早く!」と叫んだ。

 大きく振りかぶり、再び動きが止まる。

「なんて唱えるんだーッッ?!」

 目眩がしそうになるのを堪える。

「あーもーッ!! いいから投げてッ!」

 セルフィリオーナとクレイグの会話に、彼女に刃を向けていたクルセイダーの一人が標的を変える。

 クレイグに向かい、猛スピードて走りながら、剣を振り上げた。

 咄嗟に、右手に握る剣で受け止めるクレイグ。

 ズキンッと、右腕から走る激痛が頭を突き抜けた。

「……ッ!!」

 声にならない悲鳴と共に、片膝を付きそうになるのを必死で堪える。

「……ッ投げるぞ!!」

 叫ぶと同時に、左手で上に向かって球を投げた。

 それを視界の端に捕らえたセルフィリオーナが、片腕を球に向かって延ばし、叫ぶ。

「グレアリングッッ!!」


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