ドラゴン・テイル


 先ほどと明らかに違うこと。

 通路に数人のクルセイダーがいたこと。

「ッチィ! その子に絶対傷つけるんじゃないよ!」

 叫ぶと同時に、セルフィリオーナは太股に巻き付けたバンドから一本の短剣を抜き放つ。

 その後ろにいた男も、大きく曲線を描いたしたシミターを手に握りしめた。

「脱獄ッ?! 捕らえろッ!」

 通路にいたクルセイダーの一人が叫ぶと、全員が一斉に剣を抜いた。

 セルフィリオーナの近くにいたクルセイダーが、彼女に切りかかる。

 それを軽く交わして背後に回り、シミターを握った男の方へ蹴り飛ばした。

 バランスを崩し、男の前につんのめって来たクルセイダーに、シミターを振り下ろす。

 ズガッッ

 鈍い音が響き、クルセイダーが地面に崩れた。

「貴様ぁぁぁッ!」

 倒れたクルセイダーを見て、怒号を上げる別のクルセイダー。

 クレイグも、鎧と一緒に奪った剣を引き抜く。

 セルフィリオーナは、襲いかかってくるクルセイダーの一撃をかわし、首もとに短剣の刃を押し付けた。

 そこに、もう一人クルセイダーが切りかかる。

 パっと身を離した瞬間、先ほど短剣を押し当てたクルセイダーとセルフィリオーナの間を切るように剣がすり抜ける。

「くそっ! ちょろちょろと小賢しい!」

 避けたセルフィリオーナを追撃するように、振り下ろした剣の向きを変え、横に向けて振る。

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