扉の奥から、男の怒号が響く。
「貴様等ッ!! こんな事をしてタダで済むと思うなよ! 国に背いた罪は重いぞッ!」
セルフィリオーナとクレイグは目を見合わせた。
彼女が顔だけ扉の先に向けて声を上げる。
「上等じゃない。あんたら王国側こそ、国民に対する反逆の罪を受けるのね!」
言い捨てると、クレイグを促して通路を走りだした。
先には、長い階段が登っている。その階段を、息も切らさず軽い足取りで登っていくセルフィリオーナと、慣れない鎧で上手く身動きが取れず今にも倒れそうになりながら這い上がるクレイグ。
ようやく登り終わった所には、フェニックスの装飾が施された立派な扉がそびえていた。
今度は慎重に、ゆっくりと辺りの様子を確認しながら扉を開く。
誰もいない。
扉の外は、真っ暗だった。通路の縁に胸の高さまでの手すりがあり、その向こう側は外。
「やっと、出られた……。俺、やっぱり外大好き」
「静かに。行くよ」
小声で囁くように言うと、彼女は扉を出て右側にゆっくり歩き出した。
その後を、同じくゆっくりついて行くクレイグ。
ポツポツと壁に添えられたランプが、心許ない明かりで足下を照らす。
通路は、長く長く続いていた。時折、遠くで爆発音が聞こえる。
セルフィリオーナの口振りで、その爆発はウルが起こしているものだと予想はつくが、ウルは一人で暴れているのだろうか。
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