ドラゴン・テイル


「さて、どうしようかしら……」

 セルフィリオーナは、足下に転がるクルセイダーをどう処理するかで悩んでいた。

 今、下手に騒がれては困る。まだ、後一人連れ出さなければならないのだ。

「何がだ?」

 クレイグが、きょとんとした顔でセルフィリオーナの呟きに問いかける。

「ん、こいつよ。下手に騒がれたら、折角表で暴れてるウルの好意が無駄になっちゃうなーって………あ、そうだ」

 何かが脳裏に閃いたように呟くと、クルセイダーの鎧を剥ぎ始めた。

「な、何をする……ッ!!」

 焦りを交えたクルセイダーの声。

「ちょちょッ! いきなり何大胆な事やってんだ?!」

 突然、取り憑かれたように鎧を脱がせ始めたセルフィリオーネに戸惑いながら言うクレイグ。

「はいッ! あんたコレ着て」

 セルフィリオーナは剥ぎ取ったばかりの白い鎧を、クレイグに押しつけた。

「へ? 何で?」

「いいから、ガタガタ言わずにさっさと着るッ!」

 そう言い飛ばすと、セルフィリオーナは足下に転がる男を無理矢理立たせる。男は、今やティーシャツとズボンと言う普通の格好。

 こうして見ると、クルセイダーもただの人なんだと思える。

 彼女は立ち上がらせた男の腕を放さず、その背を押して今出てきたばかりの扉に再び入っていった。

 クレイグはそれを見送りながら鎧に腕を通す。少しサイズが小さいが、着れなくはない。

 扉の奥でガチャンと言う音が聞こえ、程なく彼女が一人で戻ってきた。


_