ドラゴン・テイル


 クレイグは辺りの音に耳を澄ませた。

 先ほどここを警備していたクルセイダーの気配が無い。

 交代の時間か……?

 クレイグが再び耳を澄ませると……─


 ……ゥゥ……ン……


 微かに聞こえる爆音。

 ─何だ……?!

 緊張が走る。

 フラフラと立ち上がり、小さな鉄格子の張られた鉄のドアに寄りかかる。

「おいッ! 誰か……ッ!!」

 張り上げる声に答えるものは、無い。

 ガィィィ……ン…ッ

 思いっきり鉄のドアを蹴る。

 激しい音は、短く反響してクレイグに帰ってきた。

 牢の前にあるであろう通路は、そう長いものでは無いようだ。

 ─何とか開けれねぇかな……。

 見張りがいない今こそ、抜け出すチャンスだ。クレイグはそう思った。

 背後の壁まで下がり、助走を付けてドアに体当たりをする。

 ッバァァァァ……ン…ッ


 再び激しい音を上げ衝撃に耐えるドア。

 ─もう一度……ッ!

 再び壁まで下がり、体当たり。ビリビリとドアは震えるが、まだ開かない。

 ─もう一度だ…ッ!

 壁に背を付け、ドアを睨みつける。

 思いっきり地面を蹴り、ドアに体を当てる寸前、女の声が通路から響いた。

「待ってッ! 今あけるから!」

 聞き慣れない声に、思わず急ブレーキをかける。

 ─誰だ……?

 沈黙が落ち、程なく¨カチャン¨と乾いた金属音が牢の中に届いた。


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