ドラゴン・テイル






 暗く、冷たい地面の感触と、どこかで水が漏れ落ちるような音……。

 クレイグは、うっすらと目を開いた。

 石の壁に囲まれて妙な威圧を放つ牢獄の中に、うつ伏せに倒れている自分。

 ─……ってぇ………。

 痛む体を無理に起こし、近くの壁に背を凭(もた)れる。

「…ったく…もっと優しく扱えよな……」

 ズキズキと痛む右腕。

 クレイグが剣を使うと知ったクルセイダーが、剣を握れないようにとめった打ちにしたのだ。

 ─くそ……ッ!

 誰もいない牢の中、クレイグは心の中でやり場のない苛立ちを押さえた。

 次いで、キスティン達の安否を案じる。

 無事だろうか……。

 目隠しをされた状態で連れてこられ、どこからはぐれたのか分からない。

 ウルが姿を消してから、もう丸一日が立つ。あいつは無事だろうか……。

 ─両腕をしばられたままでも、魔法って使えんのかな……。

 今、クレイグに縄はかけられていない。上半身裸で、その肌には無数の傷跡が刻まれていた。


 宝玉はどこにあるッ?!


 クルセイダーの声が耳に残る。

 ─それに……。

 クレイグは、先ほどのクルセイダー達の会話を思い出した。

 ─もうすぐ、こいつの仲間が宝玉を持ってくるさ。

 ─鴨がネギを背負うようになッ!


 ─………ウルが……来る…?


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