ドラゴン・テイル


「……はぁ…う、る……」

 弱々しい声に、ウルは腕の中にいるコパンに目を落とす。

 コパンの顔や体、皮膚に血の気が無くなっていることに気づいた。包帯は、既に真っ赤に染まっている。

「ッ! コパン!」

 傷口が開いたのだ。痛みで、コパンはだらだらと脂汗をかいている。

「しっかりしろッ! コパンッ!」

 みるみる内にコパンの目が虚ろになっていく。
 事態に気づいたエルフ女が駆け寄り、コパンの額に手を当てる。

「熱がある。傷口が炎症を起こし始めているんだ……。ちょっと、あんた」

 近くに立つ盗賊の一人に声をかける。

「あたしの部屋からなんでも良いから布持ってきな。後、水と薬草」

 言われた男は、すぐに駆け出し階段を登っていった。その間に、エルフ女は慣れた手つきで包帯を解いていく。

「頑張りな、すぐ助けてやるから」

 コパンに声をかけた。その声に反応するように、目が動く。

「うる…………うる……」

 しきりにウルの名を呼ぶ。

 エルフ女は「声をかけ続けて」と言うように、ウルに向かって頷いた。

「ここにいる、コパン。しっかりするんだ」

 閉じそうになる目を必死に開けているように見えるコパンの姿に、ウルは目を逸らしそうになった。

 あまりにも苦しそうで、あまりにも痛々しくて。

 胸が……───痛む。

 完全に取り除かれた包帯から、コパンの傷口が露わになった。

 右肩から、左の腰までにも及ぶ深い切り傷。思わず息を飲んだ。


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