ドラゴン・テイル


「………リムレット……」
 ため息と共にぽつりと呟く。

「あ?」
 訝しい顔をしてクレイグが聞き返す。

 普段、表情をあまり作らないウルが泣きそうな、痛そうな顔をしている。

 なんだよ………。

 クレイグは、言いようのない罪悪感を感じた。

 ようやく見せた表情がそれかよ……。


 押し黙ってしまった二人を、キスティンとレナが困ったように見つめていた。



「あ……の………」
 その沈黙に耐えかねたレナが、戸惑いながら声をかける。

「パレードまで、時間はまだあるし……、何か、飲み物とか買いに行きませんか?
 少し、気持ちも落ち着くかもしれませんし……」

「そうだね! うん、そうしよ?」
 キスティンも賛同した。

 歩き出す二人の後を渋った顔でついて行くウルとクレイグ。


 歩きながら、ウルは少しだけ辺りに目を向けた。

 嬉しそうに歩く家族連れや恋人達。

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