ウルは、シーズリーの街へ向かった。
シーズリーと言うよりも、シーズリーの南にあるピクシーの穴へ。
グレイクレイからルーヴァへは、約三時間ほど東に進んだ距離だ。
だが、ピクシーの穴はグレイクレイから東北へ二日程歩いた場所にある。
二日後に公開処刑が実行されてしまう。時間が無い。
グレイクレイで見た地図によると、ルーヴァからシーズリーまでが歩いて約三日程だということが分かった。
そして、グレイクレイからシーズリーまでの馬車が出ていることも。
ならば、馬車でシーズリーに向かい、そこから南下した方が早い。
そう思い、馬車に乗り込んだ。
馬車は、木造の荷台に椅子を固定し屋根を着けただけの小さな作りで、大人四人がぎりぎり入る程度の広さしかない。
その為、便数も多い。
主に旅商人が利用し、ウルのような旅人は滅多に乗らないらしく、業者はウルが乗り込むのを不思議そうに見ていた。
グレイクレイからシーズリーまでは、馬車で丸一日程。
街道をパカパカと歩く馬の蹄の音を聞きながら、ウルはクレイグ達を助ける手段を考えていた。
首都など行ったこともない。街の構造も分からなければ、クレイグ達が今どこに監禁されているのかも分からないのだ。
「にーちゃんはシーズリーに何をしに行くんだい?」
不意に業者に話しかけられ、ウルはハッと顔を上げた。
荷台の先頭に座って手綱を握り、顔だけを後方に向けて不思議そうな顔をしている業者と目が合う。
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