部屋に戻っても、沈黙は続いた。
─……分かってる……。
レナには、知る権利がある。
レナはずっとキスティンと一緒に居た。
だが、ウルはそれを口に出来なかった。
口にすればレナまで巻き込んでしまう。
最初は、ただリムレットを取り戻すだけのつもりで旅に出ることを決意したのに……まさか、こんな事になるとは。
レナは、じっとウルを見つめたまま動かない。その目が、怒っているようで、泣いているようで……、苦しくなる。
「……俺たちは……」
ぽつりと、ウルが言った。
「何も、していない……」
ようやくかける言葉がこれか……。
ウルは自分を叱責した。もっとマシな言葉はないのか?
レナは、やはり表情を変えずに見つめている。
ウルは立ち上がって部屋の扉に歩いた。扉の前に立つと、レナを振り返る。
「俺たちは、何もしていない。信じる信じないはレナに任せるけどな、ルーヴァの生存者を殺したのはクルセイダーだ」
そう言うと、扉に手をかけ部屋を出た。
玄関を開けようと手を伸ばし……─
「………どこへ行くんですか?」
レナの声に、手が止まった。
振り返ると、部屋の扉の縁に寄りかかるようにレナが立っている。
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