光が消える頃、クレイグの姿は魔法陣から消えていた。
それを見届けたルッソは、ふぅっと安堵のため息を漏らし、ウルを振り返る。
次はウルの番のようだ。
ウルは一つ頷くと、クレイグのように魔法陣の上に立つ。
「荷物を抱えるように持っていて下さい。魔法陣から出たら、中の物がバラけてしまいますよ」
ルッソの言葉に、肩から下げたバッグを両腕で抱えるように持った。
それを見届けてから、ルッソは再び声を発する。
光が足下から延びてきて、ルッソの姿どころか辺り一面が光に包まれる。
一瞬、床が抜けたような浮遊感がウルを襲った。無意識に目を堅く瞑(つぶ)る。
次の瞬間、地に足が着いた。
思わずバランスを崩して倒れそうになるが、寸での所で踏みとどまる。
辺りは、暗い洞窟から抜け、緑が広がっていた。既に空には星が出ている。
「ウル! こっちだ!」
少し離れた所から聞こえた声に視線を向けると、クレイグが手を振っている姿が見える。
ウルは、手に持った荷物を肩に下げ、クレイグのいる方に足を向けた。
「すげぇな! あの魔法陣!」
着地の時に転がったのか、体に付いた土を叩(はた)きながら、クレイグは興奮したように言う。
「そうだな、すごい技術だ」
そう言うと、次に来るであろう二人を待つしばしの間、地面に腰を落とした。
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