ドラゴン・テイル


「どうしたんだ?!」

 只ならぬ雰囲気を感じ、クレイグがルッソに問う。

「……モンスターが………バジリスクがこちらに攻めて来たそうです……」

 驚いたままの表情で答えるルッソの声には、明らかに恐怖の色が宿っていた。

「バジリスク?」

 ウルが問うと、ルッソは忙しなく頷いた。

「とても大きな、トカゲに似たモンスターです」
 もうずいぶん長い間、大人しかったのですが……。

 そういうと、険しい表情のままラストルに視線を向ける。

「ラストル様、どうしましょう!」

「うぅむ………」

 ラストルは、険しい表情のまま視線を宙に漂わせた。

「まず、客人の安全を確保するのが第一。ルッソ! お前がウル様とクレイグ様の護衛だ! コパンを連れて、安全な所まで逃げよ」

 ルッソは大きく目を開き、ラストルを見つめた。

「ラストル様はどうなさるのです! 私はラストル様を置いてはいけません!!」

「客人をお守りするのが優先だ! 我らの命に代えてでも!」

「しかし………」

 っどぉぅぅぅぅ………ん…ッ

 ずずぅぅぅ……………ッ

 突如、ルッソの言葉を遮るように、近くで爆発音のような地響きが響く。


「ゆけッ! 刃向かうことは許さんっ!」

 険しい表情で飛ばすラストルの怒号に、ルッソは一度ビクンッと体を震わせた。



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