ルッソに連れてこられたコパンは、少し怯えたように怖ず怖ず(おずおず)と部屋に入ってきた。
部屋にいる全員の視線がコパンに向けられる。コパンは、全員の顔をキョトキョトと見渡した。
ラストルが、コパンに近づき、部屋の中央まで連れてくる。
「さて、コパン。
お前に一つ二つ質問がある」
ラストルの言葉に、コパンは「キィ」と一声鳴いた。
ウルが、コパンの前まで近づき、腰を屈めて顔を覗き込むように見る。
「昨日、ルーヴァの街に行ったか?」
短く問うウルにコパンは目を大きく開き、「キキィっ! キィィッ!」と叫んだ。
「こいつは人間の言葉喋れねぇの?」
後ろでクレイグがラストルに尋ねる。
「はい。昔、コパンと行動を共にしていたピクシーが、コパンの目の前でモンスターに殺されまして……。
それ以来、コパンは言葉を話すことをやめてしまいました」
辛そうに、ラストルが言う。ルッソも、顔をしかめていた。
「………」
ウルは、思わず口を閉じる。コパンと自分の状況は、全く同じに思えた。
ウルも、リムレットがいなくなってから人と極力接しないようになったのだ。今のコパンと同じ。
「…ウル」
ウルの気持ちを察してか、クレイグが気遣わしげに声をかける。
そんなクレイグに、「大丈夫だ」と一言答え、コパンに言った。
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