ドラゴン・テイル


 陽が昇り、辺りは明るくなっていた。

 夜の闇で見えなかったルーヴァの惨状が、ウルの目に映る。

 建物のほとんどは、倒壊していた。無事に建っているものはごく僅か。だがそのいずれも、いつ倒れてもおかしくない程の損傷を受けている。

 再び、クレイグに目を向ける。怒っているような、いつものクレイグには見られない鋭い眼光をウルに向けていた。

「…お前さ、何で黙って行ったんだ?」

 ウルと目が合い、クレイグは徐(おもむろ)に口を開いた。

「ラーマに、聞いたぞ。お前が旅に出たって。何で言ってくれなかったんだ?」

 真っ直ぐにウルを見据える瞳を、同じように真っ直ぐ見返す。

「俺には言えないのか? お前、何隠してんだよ」

「………」

 ウルは答えない。沈黙が辺りに落ちた。

 辺りの明るさが違うだけで、昨夜と全く変わらない状況。風の吹き抜ける音だけが聞こえる。


 はぁぁぁ………。


 クレイグが少し長い溜め息をついた。

「あのな、ウル。俺、ラーマから聞いたんだ。……その、リムレットちゃんの事……」

 思いもよらぬクレイグの言葉に、ウルは大きく目を見開いた。


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