どれくらい経っただろうか。
空は、僅かに光りを帯びてきていた。
休むことなく、倒壊を免れた建物一つ一つを回っていたウルの体力は限界に達している。
ウルの体力に比例するように、手に灯す光も光量が弱くなる。
結局、生存者は見つからなかった。
立っていることすら出来ず壁にもたれ掛かると、力なく地面に崩れ落ちる。
体が起こせない。まるで鉛を背負わせられたように動けない。
まだ、見回ったのは街のほんの一部だ。あの松明が正しければ、探していない別の場所に生存者がいるのだろう。
早く見つけてやりたい。だが、見つけてどうする?
─俺は、回復魔法も使えないのに……。
例え見つけても、何も出来ない。自分の無力さに苛立ちを覚えた。
不意に瞼が重くなる。こんな場所で眠りたくはないが、体は休息を求めていた。
瞼の重さに耐えかねて、少しだけ目を閉じる。
辺りが真っ暗な闇の世界に変わった。まるで、底の無い穴に落ちていくように……。ほんの短い時間、目を閉じるだけのつもりが、ウルは瞬く間に夢の世界へと落ちていった。
_

