─仕方ない、どこにいるか分からないが直接ラーマを探すか……。
テントを抜け、歩きだそうとした丁度その時、誰かがウルに声を掛けてきた。
「ウル君じゃない? どうしたの?」
目を向けると、そこにはアネットの笑顔があった。
「レナちゃんなら、昨日怪我人全員の治療が終わってキスティンちゃんと帰ったよ」
─帰った……?
ウルが小さく首を傾げると、アネットは苦笑いを浮かべて言った。
「レナちゃんとキスティンちゃんは、隣町『グレイクレイ』からこの町に講義を受けに来ていたんだよ。ホントなら祭りの翌朝に帰る予定だったらしいんだけどねぇ」
「そうだったのか……」
てっきり、レナもキスティンもこの町に住んでいるものだと思っていた。……ならば、キスティンの幼なじみのクレイグも、グレイクレイ出身なのか。
五年目にして初めて知るクレイグの出身だが、今、そんな事はどうでもよかった。
「すまない、聞きたい事があるんだが…」
ウルの問いかける言葉に、「何だい?」と笑顔を向けるアネット。
「ラーマ…祭りの日に現れたドラゴンは、まだこの町にいるか?」
「ラーマ様なら確か……」
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