ドラゴン・テイル


 しばらく考えた後、ウルは購入する事にした。

 しきりに驚いた表情を見せる店員をよそに、代金を支払い店を後にする。

 別の店で、小さな肩から斜め掛けに下げるバッグを購入。オーブは布に包んで、そのバッグに入れた。

 ─残りの手持ちは百五十万ギニーを少し下回るぐらいか…。

 出来るだけ手持ちの金は少なくしたい所だが、他に必要そうな物が思いつかない。

 仕方ないので、そのまま持って行く事にした。

 ひょっとしたら、旅をしている内に何か必要な物が出てくるかもしれない。

 しばらく町をアテなく歩き回る。

 中には倒壊して開店出来ない店もあった。




 自宅に戻る頃には、空に夜の兆しが見え始めていた。

 すっかり暗くなった部屋に明かり灯す。

 今日は早めに寝ておこう。

 簡単な食事を作り、ウルは早々と床についた。

 目を閉じ、世界が闇に包まれる中で、どこにいるとも知れない相手に心の中で問いかける。




 ……リムレット……どこにいる……?



 頼むから、生きていてくれ……──


 祈るような想いと共に、ウルは夢の世界へ落ちていった。

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