「馬鹿、行くよ!!」




いきなり頭を叩かれて顔をあげると、顔を作り終えて、白のスーツを着たお母さんがしかめっ面で立っていた。





胸に付けてるベージュの花のコサージュが少しおばさん臭い。




「今何時ー?」




ソファーから起き上がって時計を見ると9時。





「まだ35分もあるじゃん」





「早いに越したことはないでしょ」





半ば強引にかばんを持たされて、玄関で真新しいダサい白一色の運動靴を履いて外に出た。





春の匂い。




なんてものはしない。




でもどっかの春の詩の言葉では言い表しにくい気持ちがした。





空がとても青かった