「仮に本当だとして、そのこととさっき倒れたこととどう関係があるんだ?」


いち早く冷静を取り戻し、紫水が言う。


『そのー、だから、恋してる女の子の気持ちとかよく分かんなくて、最初はそれでもやれるって思ってたんだけど、監督に色々言われるうちに樹里のこと全然わかんなくなって、演技もできなくなっちゃって……』

しどろもどろになる。


「そう言えばカナちゃんがおかしくなったのって、弘樹と樹里の出会いのシーン撮影してる時だったよね?☆」


「なるほど、そういうことか……。

俺、いいこと思いついちゃった」


マズイ……。


第六感にビビビッと刺激がくる。


今の紫水の顔、ウチのお母さんが悪巧みしてる時の顔とそっくりなんだけど……。




「俺たちとデートしようか?」


紫水は子供のように目を輝かせて笑っていた。