「ここで喧嘩するのはやめろよ。

うるさくてかなわない。

静かにしてくれないかな?」


静かだけどよく通る声。

人垣がぱっと割れて姿をあらわしたのは清龍だった。



「ごめんなさい。

私たち、青樹くんの邪魔をするつもりはなかったんです」


女の子があわてて弁解する。



「わかったならいい……」


清龍はぼそりとつぶやくとまた机に顔を伏せた。



「じゃあ、私たちはこれで。

光くん、またね」


女の子たちは清龍を起こさないように小声でそう言うと自分たちの席に戻っていった。



それにしても……。

清龍はいい奴だなぁ。

あんなふうに言ってたけど、きっと私が困ってるのを見るに見かねて助けてくれたんだよね。



『清龍、ありがとう……』



気持ち良さそうにスヤスヤ眠っている清龍の背中に向かってつぶやいた。