「じゃあお母さんの知り合いの事務所の社長さんに連絡しておいたから、学校が終わったら行くのよ。はい、これ地図」


お母さんは私の手に無理やり地図を握らせる。


って、まだアイドルやるなんて言ってないっ!!

男装してアイドルってなに!?

無理だからっ!

絶対バレるって!!



『お母さ……』


「じゃあ、お母さんこれからドラマの撮影だから。行ってきます。
フフフ……」


何やら不気味な笑みを残し、呼び止める私の声を無視してお母さんは出て行く。


そうだった。

お母さんは言い出したらきかない人だった。


ダイニングのドアを前に立ち尽くす。


あたりを見渡すといつの間にか皆いなくなっていた。



『はぁぁ~』


ようやく戻ってきた静けさの中、盛大にため息をついて私は学校に向かった。