「カーット!!

オッケー!!

いいぞ、樹里!!」



黒崎監督の上機嫌な声がスタジオに響き渡る。



『ありがとうございます』



あのデート後すぐにエレジーの台本を全部読み直した。


恋だって友情だって仕事だってみんな同じ。

まずは相手のことをよく理解しなくちゃいけない。


レインガーデンのメンバーのことはよく知ってるつもりでいた。

でも、半日デートしてみて初めてわかったことがたくさんあった。


由依が見かけによらず大食いなこと、清龍が空気の読めない気分屋のようで実はすごくいい奴だってこと、紫水の性格に裏表があること、遥がすごく仕事熱心で頼れる奴だってこと……


アイドルに恋する女の子の気持ちが少しだけわかった気がする。


台本読んだだけで樹里のことを全部わかった気になっていた自分が恥ずかしい。


台本に書いてあることだけを覚えればいいんじゃない。

もっと樹里のことをよく考えて、樹里に私がなりきるんだ。



遥、由依、紫水、清龍……。

みんなありがとう。

私、頑張るからね。

いっぱい勉強して、みんなにきちんと追いつくから。

覚悟していて?