私を見つめる遥の顔は真剣そのもの。


『キャッ……』


遥の手が頭に触れ、奇声を発してしまった。


頭パンクしそう……//



だがパニックを起こしつつある私をよそに、遥は少し顔を離して私を数秒まじまじと見つめた後、満足そうな顔をして再び向かいの席に腰を下ろした。



「やっぱお前の方が似合ってんじゃん」


腕と足両方を組んで座り、遥はこちらを向いて言う。


『へっ……?』


疑問に思い、頭に手をやると自分の髪の他にフサフサの手触りのいい毛の感触。

つかんで引っ張ってみるとそれはスポッと簡単に外れる。

今しがた頭から外したものを目の前に掲げてみると、みやげもの屋に売っていた猫耳カチューシャだった。

遥につけさせたものとは若干デザインが違う。



「本当はお前が欲しかったんだろ、それ」


いや、ちょっと違うんだけどなぁ……。


けれど、“俺様は全部お見通しだ”とばかりに自信たっぷりに言う遥が可笑しくて噴出してしまった。



『ぷっ……。

あはは、ありがと。

大切にするよ』


そう言って、笑いながらそっと頭にカチューシャを戻した。



こうして2日間にわたる、紫水のデート大作戦は幕を閉じたのだった。