「「「おかえりなさいませ」」」


メイドさんたちが玄関ホールに並び、出迎えてくれる。



「お勤めご苦労様」


紫水は一人ひとりに声をかけていく。



「君は新人さんだね?

これからよろしく」


と笑みかける紫水の視線を直視してしまった新人の子が真っ赤になって硬直し、倒れそうになる。

寸でのところで紫水が支え、彼女は強く身体を打ち付けずにすんだ。

彼女は紫水の腕の中で意識を失っていた。



視線で人を失神させるなんて、あんたはバジリスクか!?


「琴月さん?

僕の部屋こっちだから」


にこやかに言う紫水。



うわ~!!

今の口調はなに?

私のこと“琴月さん”って呼んだよね?