『……おっきい……』


20分ほど走らせた後、リムジンは止まった。



『ここってもしかして……』


「そう、僕の家」


“それが何?”とでも言いたげな紫水。



“僕”って何、“僕”って!!

いつも“俺”って言ってたよね?


それより何より、ここが紫水の家!?

あり得ないっ!!


綺麗に手入れされた庭園。

目の前にそびえ立つ“お家”はさながら宮殿のよう。



琴月家も一般家庭の家よりは、はるかに大きい。

けれど、そんなの比ではなかった。



「どうしたの、そんなところで固まって?」


優しく微笑む紫水が不気味だった。

黒い笑みが見え隠れしている。



「ようこそ我が家へ」


とんでもないところに来てしまったのかもしれない。


そう直感した。