「だ~れだ?☆」


声とともに視界が真っ暗になる。


『由依でしょ?』


「あったり~☆」


パッと手を離して嬉しそうに私の顔を覗き込む。


『ぷっ。

なあに、そのメガネ……』


そう、由依はいわゆるビン底メガネをかけていたのだ。


「これかけてたら、僕って周りの人に分からないでしょう?☆」


『それはそうだけど、なんだかみんなに避けられてるような……』


「いーのっ!!

僕はカナちゃんがそばにいてくれればそれでいいのっ☆」


ううっ、さらりと口説き文句を……。


「早く行こっ!!」


そう言って由依は私の手を取り、歩き出した。