「大丈夫だよ?」


私がそう答えると、守口君は深呼吸をして話し始めた。


「俺さ・・・入学式の日にある女の子を好きになったんだ。その子は桜をながめてすごく可愛い笑顔で笑ってた。ひとめぼれだった・・・その子、誰かわかる?」


私は首を横に振る。


「村田、おまえだよ・・・」

「嘘・・・」

「こんな嘘なんかつかねえよ・・・春風でも頑張れよ!」


そう言って守口君は教室を出て行こうとした。


「待って!・・・私を・・・こんな私を好きになってくれてありがとう」

「そんな村田だから好きになったんだよ」


守口君は帰っていった。

教室には私1人が取り残される。

その時・・・。


「桜ちゃん・・・音楽室・・・来て」


誰かの声がした。

誰かが叫んでるみたい・・・私はカバンを持って教室を出た。