「クロード様…その赤ん坊、捨ててきましょ?」


ソファに腰掛けて、サンは言った。

問いかけられたクロードもまた向かいのソファに座り、
目を瞑っていた。


「たかが人間じゃないですか。貴方みたいな方が…」

「煩い、黙れ」

「いいえ、黙りません」


そう、サンは断言した。


「いやな予感がするんです。
…知ってるでしょう?僕の勘は…」

「黙れといっているのが分からないか?」

「…≪彼女≫の、代わりですか?」

「…そんなんじゃない。俺は俺の好きなようにする。ただそれだけだ」


呟くように言ったクロードに、サンは諦めたようにため息を吐いた。


「流石悪魔の―――ですね。筋金入りの頑固者だ」

「…昔の話だろ」

「そうでした」