「強い魔力を持つ方なら、
占いを無効にすることは可能ですが…」


ちらり、とマーラはクロードのほうを向く。


「勿論、俺はしてないぞ。
…サンルドだって、占い自体詳しくないんだ」

「そうですわよね…腕が落ちたかしら」

「…そうかもな」


そうは言っても、
ありえないということを二人は知っている。

強力な魔力をもつ、悪魔を占えるだけの能力を持ちながら、
たかが人間の赤ん坊ごときを占えない訳がない。

サンルドは自分の腕の中に視線を落とした。

このすやすやと眠る赤ん坊に、
特別な能力があるとは、とてもじゃないが思えなかった。


「とにかく、今日は疲れました…
あなた方も旅の疲れを癒してください。
部屋は何処でもご自由に。
占いの結果は明日にしましょう」

「そうだな」



マーラは黒猫を腕に抱き、部屋を出て行った。