【長編】私とあなたは、恋をしない。

『晋平くんありがとう。』

若菜は、ある日泣きながらお礼を言った。


俺には、わけがわからなかった。


首を傾げた俺に若菜は、説明してくれた。


『大切な彼女がいるから、頑張れるって、雑誌に書いてたから。』


『そんなの当たり前だろ？』


てか、事実を述べたまでだ。


たしか、記者にはこう聞かれたんだっけ。


『大切な彼女がいると言うのは、周知の事実のようですが、バスケに変化は現れましたか？』


『以前も頑張っていたけど、大切な彼女のためにもそれ以上に頑張りたいって気持ちになりました。
そのおかげで、前よりも試合の内容が濃くなった気がします。』


俺は、素直に答えたんだっけ。


『牧野くんは、以前よりもシュートをしていますね。
牧野くんの学校が前も強かったけど、点数の差が僅差だったのに引き離してますもんね。』


『やっぱ彼女には、カッコいいとこ見せたいんで。』


ここがカットされててよかった。


若菜が喜んでくれた部分がうまいことなっててよかった。