「若菜、ホントに好きだからな。」


俺は、呟くように言って、さっきよりも強く若菜を抱きしめた。


若菜は、その言葉が聞こえたのか俺を抱きしめ返してくれた。


幸せだ。


このままでいたいな。


俺と珠李の偽りの生活は、もう終わりだ。


俺が無理だから。


てか、珠李も限界だろう。


一緒に暮らすのはいい。


けど。


慰め合う関係には戻れないだろ?


弱かった。


珠李がいるからと逃げて。


珠李だって、そうなんだ。


俺のせいにして、逃げて。


けど、逃げることのできない現実を突きつけられてしまった。