廊下にはクラスメートがなにやら騒いでいる。
わざわざ廊下に出て私たちの事をひやかす奴らもいた。
「あいつら、できてんじゃね?」
「うはっ、後つけるか?」
「バカ、やめとけって」
私と榊の関係は、そんなんじゃないのにー!
そんな周りは目もくれず、ただズンズン進んでいく榊。
横顔を確かめる勇気は私なんかにありません。
ビクビクしながら付いていった。
連れてこられたのは、だれもいない空き教室。
普通は生徒が持ってちゃいけないはずの鍵を持っている榊。
学校の鍵で合カギ作ったな
こいつ…。
教室の鍵を開けると、榊は私に「入れ」って命令してきた。
ムカつくのは当たり前だけど、とにかくこの危ない状況をどうするかで私の頭はいっぱいだった。
静かになった教室で榊は口を開いた。
「俺…中等部からそのまま高校に上がったからさ、中高の先輩は顔見りゃ分かるんだよ」
い、いきなり本題ですか…。
「とくに北坂祐也は目立ってたから、中等部で知らない奴らはいねぇしな。」
…目立ってたって、かっこいいから?
それいがい考えられないし。
「お前がこの前友達に話してたのたまたま聞こえててよ、北坂ゆうって女の人と暮らしてるとか言ってたけど…お前、ウソ下手くそだな」
「う…あ、あれは…」
「北坂祐也しかあてはまんねーし。…やっぱ一緒に住んでんだろ?」

