「ほんとありがとう。じゃあね!」
そう言って返事を聞かないまま、私はゆっくり歩き出した。
後ろでこぼされた小さなため息に気づかずに。
──…
うっ、重い…
よたよたになりながら道路の横の歩道を歩く。
すると
ピロリロリンッ…ピロリロリンッ
スカートのポケットでケータイが鳴る。
買ったばかりの携帯はいまいち操作が分からなくて、着信音が全部"ピロリロリンッ"のまま。
そろそろ変えないと高校で笑われちゃうよね。
そして、画面の表示を見ると…
"祐也さん"の文字。
「祐也さんっ!?」
なんてタイミング!!
「はいっ、もしもし?祐也さんっ!?」
もしかして今、暇なのかな?
淡い期待を抱いて勢いよく電話に出た。
すると、電話の向こうからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「…何で笑ってんの?」
《いや、やけに嬉しそうな声だったから》
!?
そんな分かりやすかった?
恥ずかし…

