「ミヒローっ!!」
朝から会うなり、抱きついてきたノン。
祐也さんと両想いになれた事は、昨日の夜に連絡していた。
「ほんっとによかったね!ってか、うらやましー!」
こんな風に一緒に騒いでくれる、喜んでくれている友達がいて凄く嬉しかった。
2人で騒ぎまくってるなか、騒がしく教室に榊が入ってきた。
「た、たた助けろ!!」
最初榊だと分かった瞬間、目を逸らしてしまいそうになったが、榊が私たちを呼び止めた。
「お前ら!無視しよーとしてんじゃねーよ!!」
偉そうに入ってくるなり、私の腕を掴んで引っ張ってきた。
「なっ、なに!?」
「お、おだ、小田切が…」
真っ青に近い顔をした榊が助けを求めてくる。
するとそこに…
「榊ー?」
小田切くんの声が聞こえた。
「うっ…」
榊はすかさず私の手を掴んだまま、教室の外へ駆け出した。
何!?なに!何!!?
訳がわからんまま、榊に引っ張られていった。
「ハァ…ハァ…」
「…な、んでそんな逃げんの…?」
誰もいない体育館裏まで逃げた榊にそう言った。
「いや、あいつさ…」
話し出そうとして、ふと動きを止めた。
「矢野…」
急に真剣な顔になって名前を呼ばれる。
「はい…」
「……よかったな、両想いになれて」
…ん?
「え、…なんで…」
なんで知ってるの?
そんな疑問を視線で投げ掛けたが、彼の視線は私の目…よりやや下にいっていた。