直子は明るい表情のまま昔を語る。


「それに比べて、未裕ちゃんに対しては別人みたいなんだから、ビックリしたわよ」


「そんな変わってるのか…俺?」


「私を好きだと言ってた時と全然ちがうよ、今。だから、裕也には未裕ちゃんが必要だ!って女の勘が働いた」



そんなに変わるのか。

「てか、俺はそんな分かりやすいのか。」


「いや、端から見れば妹に優しいお兄ちゃんって感じなんだけど…」

「けど?」



「最近は裕也も気持ちを全面に出してきてるから、恋人にしか見えなくなってきてるかな」



「はっ!?」


ニヤニヤと俺の顔を見ながら唐突にからかってくる。


んな全面に出してないし、未裕にだって伝わってないっての。



もちろんのこと、俺は慌てるが、そこまで取り乱さない。



「私が何を言っても顔を赤く染めなかった裕也が、未裕ちゃんに何か心理をつかれる事を言われるだけで、赤くなるんだから」



た、確かに…

未裕に対しては頭より体が勝手に動いてしまう時がある。



直子では、…なかったかもしれない。



「裕也の本気はこれからだよ。がんばんなね」


直子はまっすぐな視線を俺に向け、そう言った。


「…ああ。ありがとな」



そう返すと、手を振って店を出ていった。


1人になると、急に胸が締め付けられる。




俺の本気の恋愛か…。



未裕



今何してるかな…


起きてたりするか?


熱上がって苦しんでたり…



やべ



「早く帰ろ」


思わず口から漏れた。



今の俺が本当の俺なら…。

俺って結構過保護かも…。