俺、ほんとはもう完全に未裕に染まってる。
自分でもアイツがこんな大事な存在になるなんて思わなかった。
最初は妹感覚だったんだ。
ルームシェアに誘ったのも、俺の持つ正義感から。
気になってた…っていうのもあるけど、それは恋愛感情に関してではなかった。
ぜったい変な気を起こさないだろう…って確信してたつもりだったし。
そんな簡単に自分の気持ち言えねぇよなぁ…
かといってほっといたら
あの榊に取られるかも…だよな。
その日、俺はなかなか寝付けなかった。
そして次の朝。
クマが出来た目を擦りながら部屋を出ると、俺と同じく目を擦りながら部屋から未裕が出てきた。
おはよう、…そう言うだけなのに
なぜか喉がつっかえてしまった。
未裕が俺に気づいて目を真ん丸にする。
そしてみるみる顔が染まっていった。
「ゆっ、ゆうやさんっ…大学は?」
声が裏返って話す未裕を見ていたら、ふっと自分の中で何かが和らいだ。
「なーにいってんの。今日は休みだよ」
おかげでいつも通りにできた。
「そ、そか…」
やんわり笑った未裕は頭の寝癖を隠すように洗面所へ向かった。
未裕…かわいい………
じゃなくて!!
「朝ご飯、朝ご飯…」
ひとり恥ずかしくなりながら、作業に取りかかった。

