私はまた涙がこぼれ始めてしまった。
「…何でっ?それは諦めろ、って言ってるの!?」
もう八つ当たりに近い。
伝わっても返ってはこない別の愛情。
最初は思うだけでいいなんて言ったけど、いつのまにか欲張りになってる自分。
それに気づいても止められない自分の弱さ。
苛立ちと悲しみの行き場が見つからなかったから。
「……違う…」
「…何が違うの……?」
「未裕は俺なんか好きになったら勿体ないよ。」
「そんなの裕也さんが決める事じゃない!!」
嫌だ…せっかく裕也さんに近づけたと思ってたのに
また離れてく。
逃げないでよ…!!
「…でも」
裕也さんは私が口を開こうとするのを塞ぐように、大きな声を出した。
黙った私を確認して、ゆっくり話し出した。
「…でも、俺は…未裕にここにいてほしい。お前が来てから俺、自分でも分かるほど変わってきてる。」
「それに、俺の中の直子の存在も日に日に薄れていってる。
…この間、直子が他の奴といる所を見ても、アイツも幸せなんだなぁ…とか思った自分にビックリしたんだ。
未裕に名前呼ばれた時は、俺…なんかうれしくなったんだ…。
未裕が居てくれてよかったって思ったし、今も思ってる。
すげー感謝してる。でも、その未裕を傷つけるのは気持ちがはっきり言えない俺のせいだから…」
「…だから……ごめん?」
「うん」
それは…私の存在も裕也さんの中で大きくなっていってること…?
やっぱり近づいてる…?
八つ当たりしていたことを忘れて、期待と嬉しさを隠せず、振り返えろうとした。

