「ホントに大丈夫?1人で帰れる?」
「うん、大丈夫」
榊の家の前で反対方向に家があるノンは、私に何度も聞いてくる。
昼間ほど、しんどくはない。
「わかった!気をつけなよ?」
「うん、ばいばーい」
手をふる私の後ろで榊はさっきからずっと黙ったまま。
ノンが見えなくなってから、後ろを振り替えった時…
「やっぱ送る」
と、言った榊。
気持ちは嬉しいけど…
今は出来れば1人がよかった。
「え、いいって。面倒でしょー?」
「じゃ、行くか」
「え、ちょっ…話聞いてる?」
有無を言わさず進んでいく榊。
その背中を見ていたら、断れなくなってしまった。
しばらく歩いて、公園が見えてきた。
すると誰かが公園の奥を通り過ぎていった。
私はたいして良い視力でもないから、よく見えなかった。
珍しいな…誰かジョギングでもしてんのかな…。
すると不意に榊が私を引っ張った。
「えっ、どうし…」
榊の顔は少し焦っているように見える。
だから、聞くのをまた止めた。

