「……」
そもそも俺は何でこいつから卒業出来ないわけ?
こんな一方的な片思いすることなんてなかった。
たいがい、好きだと言えば、それなりの返事が帰ってきたのに。
矢野は今までとなんか違う。
だからか…諦めつかねぇのは…。
大きくため息をついて空気を入れ換えるため、窓を開けた。
夕方5時。
外の天気は曇り空だった。
「雨…ふりそーだな」
─…
「ちょっと榊!」
「うわ、なんだよ!!」
ノンと榊の言い合いで目が覚めた。
「あ!ほら、ミヒロ起きちゃったじゃん!」
「うっせーなっ!お前のせいだろ!?」
どっちもうるさい。
寝ぼけた目を擦りながらベッドを降りる。
「ミヒロ、もう大丈夫?」
「あ…うん。大分楽になった、ありがと。そろそろ家戻んないと…」
裕也さんが心配してるかもしれない…。
「まだ顔色わりーけどな」
榊が急に私に茶々を入れる。
「ほらでた!まだミヒロに居てほしいからって、そんなんじゃ伝わんないよ?」
「な…う、うるっせ!そんなつもりで言ってねー!!!」
「あー、はいはい」
いつもなら私と榊がしている口喧嘩。
さすがに今は元気ないから、ノンが私の代わりになってるみたいで、笑えてくる。
もうこの榊いじりには、慣れたような気がする。

