私が来てから余計に涙が出てきた祐也さん。
「…」
私もかける言葉が見つからなくて黙っていた。
家について、祐也さんに紅茶を入れてあげた。
まさか、凄く大人だと思っていた人があんな風に泣くなんて。
よく考えたら、3歳しかかわらないもんね…。
私はもっと泣くから。
黙ってリビングで紅茶を飲む彼を見ながら、不謹慎だけど、可愛いと思ってしまった。
言葉は交わさないけど、ゆっくり、和やかに流れる時間。
眠くなってきた私は、そこで初めて彼に声をかけた。
「祐也さん、私そろそろ寝るね?」
そう言って自分の部屋に手をかけた時だった。
「……………ごめんな、未裕。」
「…え…なんで謝るの?」
それは何のごめん?
泣いたことに対して?
それとも、私を好きになれないことに対して?
「…傷つけてばっかで、ごめん」
祐也さん、まさか…
榊の言葉を気にして?
「謝んないでよ、私…傷つくこともあるけど、…それ以上に祐也さんに嬉しいこととか、楽しいこと沢山してもらってる!」
「…」
「さっきだって、心配して駆けつけて来てくれたじゃん…」
私はそっと祐也さんの座るソファーの横に座った。
「感謝してるよ。ここに来たときから、ずっと…」
「……未裕………」
祐也さんは囁きながら私に顔を近づけてくる。
「……俺…」
え…?
えぇっ…
な、これ、まさかっ
そう思った瞬間…
ふらっと反対に倒れた祐也さん。
さっきまで紅潮した私の顔は顔面蒼白。
「祐也さん!?だいじょ…」
すると整った寝息が聞こえてきた。
あ、なんだ…
寝たのか…
ホッとするような、残念なような…
漫画のようなよくある展開だなぁ…

