…え?
「ゆ、…うやさん?」
私は突然肩を捕まれ、振り向くと、祐也さんがいた。
それもかなり怒っている。
「なんで…」
「何してんの?」
私の言葉を遮り、さっきよりも強い口調ではっきりと言われる。
固まる私の横で榊がフッと笑った。
「何?このタイミング。どっかで覗いてたんじゃねー?」
喧嘩を売るかのように祐也さんにつっかかる。
「はぁ?」
祐也さんは私から視線を外し、榊を見据えた。
「ちょ、2人とも…」
止めようとする私を無視して2人は睨み合っていた。
「こいつの事…こんなに傷つけといて、自分のものみたいに出てきやがって!!」
「…っ!」
その言葉を聞いた祐也さんは、言い返せなくなって、気付た顔をした。
「や、やめてって言うてるやん!!」
私は祐也さんにそんな顔させたくない。
「矢野…」
榊が私を見た瞬間に、祐也さんはゆっくりと公園を出ていってしまった。
あ、追いかけないと!
走って行こうとしたら、榊に手首を捕まれる。
「待てって!矢野!!お前、やっぱ熱あんぞ。それと無理すんな」
「榊…ありがと……体、心配してくれて。でも、大丈夫だから」
そう言って手を振り切って私はまた走り出した。
「馬鹿…今のは違う意味での心配だっつの」
─…
さっき榊は私の体温が熱いと言われ
彼は熱があるかか確かめるためにおでこを合わせようとしただけだった。
それを多分、祐也さんは勘違いしたんだ…。
あんなに顔が近かったら、キスと間違えたりするかもしれない。
少し…
いや、かなり嬉しかった。
止めに来てくれた理由がなんとなく、分かったから。
前を歩く大きな影が見える。

