to Home!!

落ちたケータイを拾い、なんとなく話しかけにくくなった私は、黙って祐也さんに着いていった。



少し祐也さんの後ろを歩く。


時刻はもう夕方4時。

お昼からずっといるから、もう用事も全部済んだ。


私はさっきから祐也さんが気になってしょうがないから、チラチラ確認してしまう。


「未裕…」

突然呼ばれ、体がビクつく。


「俺…そんな傷ついた顔してないでしょ?」

歩きながら祐也さんが言った。

眉尻が下がって少し寂しそうな顔。

でも笑っている。



「…何で?私の前でくらい、そんな無理しなくても…。好きな人に彼氏がいたなんて知ったら、誰だって傷つくよ…」


私はそんな顔できない。


笑うなんて、できない。

「未裕は優しいね。なんか…落ち着くかも」


そう言ってまた笑う。





「…知ってたんだ。直子に彼氏がいるのは。だからあの時…家に泣きながら来たんだよ」


滅多に泣かないあいつがさ、と呟きながら車に乗る祐也さん。


それは昔から知っている仲だからこそ、言える台詞だった。


「知ってたって…なんで?」

「彼氏と上手くいかないんだって…俺に相談しに来たんだ」


あの時の、そんな話だったんだ。



「俺…泣いてるアイツ見て、そんな彼氏より、俺の方が幸せにできる…って思ったから、言ったんだ」


フッと笑いながら話す祐也さん。


私が見たのは、そのシーンだったんだ。


「そこにお前が飛びだして来たんだよな」


そう言われ、私は急に熱くなった。