「じゃあさ…あの榊とかいう奴と俺のどっちがいい?」
榊?
何でそこで榊が出てくるんだろう…。
「そりゃ………祐也さんの方が……」
「方が…?」
子犬のような目で私を見てくる。
「…っ、祐也さん、言わなくても分かるでしょ!?」
絶対わざと言わせようとしてる!!
「ケチ!言ってくれてもいいじゃん!!」
「い、言わない!」
祐也さん、私の事からかいすぎ…。
─…
学祭からしばらくたった土曜日。
私は祐也さんとお昼を金沢さんの店で食べてから、買い物に来ていた。
「なんか、ここ久しぶりだね〜」
今来ている場所は近所のショッピングモール。
「だよね。最近未裕と来たとき以来だな」
そうだ。
祐也さんは最近私としか来てないのか。
「私、この前榊とあそこのゲームセンター行ったんだー」
前を通りかかったとき、思わず口走ってしまった。
「…ふーん、そう」
「祐也さん、聞いてる?」
「聞いてるよ」
いきなり口数が少なくなった。
「……榊のこと嫌い?」
思わず言ってしまった。
それは前からなんとなく抱いていた疑問。
何の接点もないのに、私の話しに出てくるだけで、ノリが悪くなる祐也さん。
出会った最初の頃はよく榊とノンの話して、一緒に笑ってたのに。

