「やけになったんだ…榊……」


ケータイを眺めながら呟いた。


すると横から祐也さんが近づいてきた。



「榊って、今日一緒に学祭回ってたやつ?」

うわ…近っ。

てか、誤解されそう!!

言わなきゃ!祐也さんがよかったって!!



「えっ…あぁー…うん。でも!祐也さんと一緒に…」
次の言葉がでない。



「…一緒に?」




「ま、回りたかったんだってば!!」



「えっ…逆ギレ?」


「だって…何がなんだか…もう分かんない!!」



榊の事、祐也さんの事、直子さんの事。

もう、ごちゃごちゃ。




そんな私の頬に祐也さんの手が触れる。


「未裕…」


…え?



「……」



何…?

心臓の音しか聞こえないくらいの緊張。



こんな空気になったことないよ?

ないよね?

私と祐也さんで。





「そいつになんか言われた?もしくはされた?」

その言葉に体が固まる。


「何でっ!?」


「なんか…いつもと違う。知ってるようで知らない未裕がいるみたい…」


「……私は…私だよ」



だんだん空気に慣れてきて、火照った頬を隠そうとせずに真面目な顔で私は言った。



すると



「…フッ…そうだね。何言ってんだろー、俺」


コロッとその場の空気は変わった。


「準備できたら食卓おいで」

そう言って私の頭にポンポンと手を置いてから出ていった。





今のは………。



自惚れるよりも先にノンにメールした。


さっきのはいったいなんだったんだろう…。

少しは進展…してたり?


直子さんが好きであっても、さっきは私の事見てくれてたかもしれない。


視線がいつもと違った…。